企画展・テーマ展のご案内
第74回企画展「すこやかであるために-円環する生・老・病・死-」
令和8年6月20日(土)~令和8年8月16日(日)
岩手に生まれ、岩手に生き、岩手で亡くなった人々の祈りと願いを概観します。
※企画展会場では撮影ができません。
■主な展示資料
【日本人の身体観】
日本では、中国古来の「五臓六腑」説と呼ばれる身体のしくみが長く信じられてきました。五臓は生命活動の柱となる「心・肝・脾・肺・腎」、六腑は食べものの消化に関わる「胆・胃・小腸・大腸・膀胱・三焦」という器官を指します。これらに、エネルギーの源となる「気」や「血」を送る十二経絡という道筋が縦横に張り巡らされているという身体観です。さらに、人は生まれながらに「気(元気)」を持ち、気を病むと「病気」になると考えました。
やがて、江戸時代半ばになると西洋の医学書や最新鋭の科学技術が流入し、これまでの伝統医学と異なる実証的な知識が広まっていきます。ここでは、日本医学界の転換期となった江戸時代中・後期を象徴する資料を中心に紹介します。
また、現存する日本最古の医学書『医心方』を特別公開いたします。
医心方 巻第二十二/国宝/東京国立博物館
解体新書/岩手医科大学
重訂解体新書/東京国立博物館
臓志/東北大学附属図書館
種痘用具/一関市博物館
【生まれるとき】
岩手には安産・子授け、子育てのご利益で信仰を集める神さま・仏さまがたくさんいます。県北部は子安さま、県央部は金勢さまや松林地蔵さま、県南部は山の神さまが代表例として挙げられます。
命がけと言われる出産。現在より妊産婦死亡や死産、そして乳児死亡のリスクがはるかに高かった時代は、必死の思いで神仏へすがったことでしょう。
このコーナーでは、生命の誕生にまつわる信仰や、医療者が少ない地域で多くの赤子をとりあげた無資格産婆の活動、先人たちが経験した生み育ての苦悩などを紹介します。
足形付土版/市指定/滝沢市埋蔵文化財センター
コナサセ道具/県指定/二戸市教育委員会
松林寺関係資料/市指定/花巻市・松林寺地蔵堂
山神講関係資料/えさし郷土文化館
おんだい舞のわら馬/早池峰岳神楽保存会
間引き戒め図(複製)/仙台市博物館
書状/芦東山記念館
夢中翁嘉言/もりおか歴史文化館
【老いるとき】
人はさまざまなかたちで長寿を願い長寿を祝うと同時に、年を重ねることで経験する身体機能の変化に抗おうとしてきました。
ここでは先人が老いや長寿をどのように捉えていたかを示す資料を紹介します。「人生七十古来稀(じんせい しちじゅう こらい まれなり)」とは、唐の時代の詩人・杜甫が詠じた詩の一節です。男女ともに平均寿命が80歳を越えた現代、長寿の節目として祝った還暦も、古稀と呼ばれる70歳も人生の通過点となりつつあります。
資料から第二の人生を過ごすヒントを見つけていただければ幸いです。
老人六歌仙図/花巻市博物館
長寿家族図/岩手県立図書館
八戸南部家旧蔵「人魚のミイラ」ほか(画像のみ)/八戸市博物館
【病めるとき】
人の一生に病はつきものです。
現在は症状に応じて診察を受け治療できる環境が整っていますが、体調異変を引き起こす病の原因が判然としない時代を生きた先人たちにとって、その脅威は計り知れないものであったことでしょう。
しかし、その正体を見極めなければ対抗策を講じられず、病と向き合うこともできません。
ここでは医学が発達する以前に創出された病の原因、さまざまな症状に対応した神仏の伝承や祭事、おまじないなどを中心に紹介します。
丑満参り画/紫波町・常光寺
マタギ関係資料/国重民文/碧祥寺博物館
カッパ伝来 横田膏関係資料/陸前高田市立博物館
カッパの手判/北上市・染黒寺
蛸薬師如来像/盛岡市・大泉寺
賓頭盧尊者像/遠野市・西教寺
手形足形図絵馬/北上市・千手観音堂
蛸図絵馬/久慈市・蛭子神社
【亡くなるとき】
大切な人を失う悲しみは、簡単に癒えるものではありません。
遺された者はねんごろに故人を弔い、死後の幸福を願うことで悲しみと向き合ってきました。この故人の冥福を願う行為には、「死」をも人生の通過点と捉えようとする日本人の死生観が伺えます。
ここでは、故人の姿を投影した人形や板絵、口寄せというかたちで故人の想いを伝えた宗教者の道具など、故人の冥福を祈る習俗に関係した資料を展示します。
また、葬送や盆行事を中心に、広い県土をもつ岩手ならではの習俗の多様性を紹介します。
地獄図/碧祥寺博物館
葬式行列書/岩手県立図書館
供養絵額/遠野市立博物館
供養絵馬/紫波町・極楽寺
供養人形/遠野市・西来院
北上市・二子鬼剣舞装束/館蔵
北上市・岩崎鬼剣舞面/館蔵
■会期中の展示替え等
・6月20日(土)~7月20日(月・祝)
医心方 巻第二十二/国宝/東京国立博物館所蔵
飲食養生鑑/東京国立博物館所蔵
・6月20日(土)~8月2日(日)
賓頭廬尊者像(ビンズルコ)/遠野市 西教寺所蔵
九相図/市指定文化財/盛岡市 永泉寺所蔵
※九相図は2階いわて文化史展示室にて公開中です。
・7月22日(水)~8月16日(日)
医心方(坂家本) 巻二十二/東京国立博物館所蔵
■関連展示
トピック展「いのちをつないだ人々~近代岩手の母子保健~」
会期 6月30日(火)~8月16日(日)
内容 三田俊次郎氏関係資料/岩手医科大学
根本四郎氏関係資料/岩手医科大学・北上山地民俗資料館
深澤晟雄氏関係資料/深澤晟雄資料館
昭和期の助産道具/岩手県助産師会旧蔵・えさし郷土文化館
▼講演会 ※各回とも聴講無料、先着140名
・6月28日(日)13:30-15:00
「死生観について考古学者が知っている二、三の事柄ー墓・葬送・他界観ー」
講師 井上 雅孝 氏(滝沢市埋蔵文化財センター)
・7月12日(日)13:30-15:00
「生と死への向き合い方-中尊寺供養願文と即身仏-」
講師 中村 安宏 氏(岩手大学人文学部)
・7月20日(月・祝)13:30-15:00
「民俗芸能と祈り」
講師 岩舘 岳 氏(紫波町教育委員会)
・7月26日(日)13:30-15:00
「住民の力を信じた村長 深澤晟雄-沢内村の生命尊重行政-」
講師 加藤 和夫 氏(深澤晟雄の会理事長)
・8月9日(日)13:30-15:00
「追憶の肖像-死者を描くこと-」
講師 羽柴 南枝 氏(奥州市教育委員会)
▼民俗講座・企画展ワークショップ
「手から手へ 知恵を伝えるSANBAルーム in県立博物館」
・7月25日(土)10:00-15:00 参加無料
講師 岩手県助産師会
▼ミュージアムシアター 視聴無料
「自分たちで生命を守った村」
・8月1日(土)13:30-14:05、14:30-15:05 2回上映
協力 NPО法人深澤晟雄の会
▼展示解説会 ※各回とも要入館料、先着20名程度
・8月1日(土)14:30-15:30
・8月7日(金)14:30-15:30

